評価通達に基づかない宅地の評価(路線価方式による評価を中心として)

1.公示価格の8割について …(私見)

    (1)    土地の価額に値幅があること
    1年間の地価変動に耐えること

    (2)    路線価が2割の範囲内で低下しても、それは評価の面で予測されたもの。
    つまり、予め考慮された変動の枠内とするためのものである。

    (3)    評価の安全性

    (4)    22条の時価として耐える為(安全性)(次の3の路線価の調整率は含まれない)

    (5)    80%の額が22条の時価と考えられているのだ


2.路線価とは

    (1)    財産評価通達14
    路線価とは

    • 価格が概ね同一と認められる宅地が面している路線ごとに付された
    • 標準地の価格をいいます

    (2)    次に掲げる全ての事項に該当するものです

    • 路線のほぼ中央部にあること
    • 共通している地勢にあること
    • その路線だけに接していること
    • 標準的な間口、奥行きを有し、く形又は正方形を有するもの
3.路線価の調整率
20%には次の調整率は含まれないことになる

    @    通達による調整率(画地調整率、個別格差率)

    A    情報、事務連絡による調整(画地調整)
      利用価値が著しく低下している宅地の評価を含む

    B    特殊な「個別事情」による調整(画地調整)

    • 評基通6に、著しく不適当と認められる財産の価額は国税庁長官の指示を受けて評価するとある。

    • 6項を根拠に評基通による評価を否認し、納税者が負けている判例(租税回避的なもの)も見受けられる。

    • しかし、6項を根拠に個々の財産の態様によっては減額にも活用できる。
      (評基通による評価を否認する際、その都度事前に国税庁長官の指示を受けて行っているものでもなかろうから、事後の承認も指示を受けて評価したことになるのであろう)

    • 税理士が評価、申告するという事は、評価上はこのように評価してくれと指示を求めた事、22条の時価を税理士なりにした事になる。

    • 特殊な「個別事情」による調整(画地調整)率は、不動産鑑定士のアドバイス、国に於ける用地買収、損失補償等を利用すると良い。

    • 納税者も相談、評価、申告を通じて、課税庁(国税庁長官)に指示を求めるべきだ。
      (下記4.を参照)

    C    評価通達6項に基づく個別評価の申請
    評価通達の定めにより難しい場合、個別評価の申請ができます。

    <個別評価の申請について>
    前記の国税庁長官の指示を受けて評価する場合で、土地についてこの規定を適用して適正な時価評価を求めようとする場合には、不動産鑑定士等による鑑定評価を求める方法もありますが、納税他の所轄税務署長に対して土地の個別評価申請を行うことも考えられます。この扱いを受けるための申請書の形式や当該申請書に添付する書類等については、定型的なものは存在しないようですが、様式例(平成X年分個別評価設定申請書)もありますので、参考にしてください。
    なお、この申請書に対する通知は、税法(法律)に規定する処分の通知ではありませんので、この通知に対して不服がある場合においても異議申立てや審査請求の対象にすることはできません。
4.平成4年4月国税庁の事務連絡 路線価と時価の逆転現象が生じている場合、
  「評価通達に基づかない宅地の評価を認める」について
-TKC千葉会内藤氏文書より

    (1)    路線価等に基づく評価額がその土地の課税時期の時価を上回ることについて申告や更正の請求の相談があった場合には、相手方の申し出に耳を傾ける等、路線価に基づく申告でなければ受け付けないなどということがないように留意すること。

    (2)    時価の判断として相続税法上の時価として適切かどうか適正な判断を行うこと。

    (3)    時価の判断にあたっての留意事項として、

    • 路線価が時価を上回った場合に対応する必要があるので、その土地の課税時期の時価が路線価を決定する際のアローアンスの範囲内に留まっている場合には、その路線価による評価額によるものであること。
    • 課税時期の時価として判断すること。
    • 売買事例の斟酌にあたっては、あくまでも 「仲値」 によること、としている。
      この事務連絡の趣旨を考えると、路線価による評価が時価を超えることを国税庁が認めたものといえるし、また、路線価評価以外による時価評価によってなされた申告についてもその評価ならびに申告を認めることとしたといえよう。
5.前記”平成4年4月国税庁の事務連絡「評価通達に基づかない宅地の評価を認める」”について
   -課税庁は以下のように考えているようだ

    (1)     基本的な考え

    • 路線価等は納税者の便宜と課税の公平の観点から、画一的に評価するためのもので、唯一絶対的なものではない。
    • 路線価に基づかない申告は個々の事例ごとに相続税法の時価として、適正かどうかを判断する必要がある。
    • 路線価は公示価格の8割水準でバランスよく付設されている場合に限り、合理性をもつことから、評価対象地と状況が類似する地価公示又は基準地を選定し、場所的修正を行い、対象地の時価 (路線) を算定、バランスの検討をも行う。

    (2)     鑑定評価によるものについて

    • 鑑定条件 (価格時点、正常価格、評価単位) が適正

    • 評価書の比準価格、収益価格、規準価格、個別格差率、鑑定評価額が適正

    • 各種補正

    • 取引事例の採用が適正と認められるものは認める

    (3)  

    不動産業者の査定価格について

    不動産業者は査定した価格について法的な責任はなく、鑑定評価に比べ信頼性に欠ける事から、売買実例からみて相当と認められるものを除き、原則として認めない。

    (4)  

    実際売却価格について

    課税時期の直後の売却で、売却価額が適正であれば認められる。
    課税時期から売却時点までの地価の下落又は売り急ぎによって、路線価等に基づく評価額を下回っているものは認められない。売却価額に疑義のあるものは譲渡所得の実地調査で確認すべき事になっている。

    (5)  

    簡便法による方法について

    路線価の下落率を基に時価を算定する方法であるが、この簡便法は算式からして地
    価の下落が路線価の持つ20%のアローアンスを上回った場合の 「更正の請求」 又
    は期限後申告にしか利用できない。

    (6)  

    申告相談等の対処について
    根拠となる書類の提出を求め (立証責任) は個別に検討を行う事になっている。
6.評価通達による調整率
  
次のものがある
(1) 評基通 15 奥行き価格補正
(2) 評基通 16 側方路線価影響加算
(3) 評基通 17 二方路線価影響加算
(4) 評基通 18 三方又は四方路線価影響加算
(5) 評基通 20(1) 不整形地
(6) 評基通 20(2) 無道路地
(7) 評基通 20(3) 間口が狭小な宅地等
イ)間口の狭小な宅地等
ロ)奥行が長大な宅地
(8) 評基通 20(4) がけ地等
(9) 評基通 22〜22-3 大規模工場用地の評価
(10) 評基通 23〜23-2 余剰容積率の移転がある場合の宅地の評価
(11) 評基通 24 私道のように供されている宅地
(12) 評基通 24-2 土地区画整理事業施工中の宅地
(13) 評基通 24-3 造成中の宅地
(14) 評基通 24-4 広大地の評価
(15) 評基通 24-6 セットバックを必要とする宅地の評価
(16) 評基通 24-7 都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価
(17) 評基通 25 貸宅地の評価
(18) 評基通 26 貸家建付地の評価
以上 平成19年5月までのもの
7.情報、事務連絡による評価(資産評価企画官情報等に基づく評価)
(個別性の強い特殊な状況にある宅地の評価)

    (1)    マンション用地の評価

    (2)    公開空地のある宅地の評価

    (3)    1画地の宅地が容積率の異なる二以上の地域にわたる場合の評価
                      (平4課評2-11 課資1-16 平成4.8.27)

    (4)    利用価値が著しく低下している宅地の評価(詳細は8.へ)

    (5)    宅地造成事業施行地内にある残地されている公共施設用地等の評価

    (6)    宅地造成分譲後に残地されているゴミ置場等の評価

    (7)    遊水地等の評価

    (8)    河川を隔てて道路がある宅地の評価

    (9)    不動尊を祭る家屋の敷地である宅地の評価

    (10)    派出所(交番)の敷地となっている宅地の評価

    (11)    都市公団の用地として貸し付けられている土地の評価について
                       (課税2-3 課資2-121 平4.4.22)

    (12)    特定市氏農園の用地として貸し付けられている土地の評価について
                        (課評2-14 課資2-211 平6.12.19)

    (13)    一般定期借地権の目的となっている宅地の評価に関する取扱いについて
                             (課評2-8 課資1-13 平10.8.25)

8.利用価値の著しく低下している宅地の評価

    (1)   道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地でその付近にある宅地に比して著しく高低差のあるもの

    (2)   地盤に甚だしい凹凸がある宅地

    (3)   震動の甚だしい宅地

    (4)   上記1.2.3.以外で
    騒音・日照阻害・臭気・忌み等により、取引金額に影響を受けられるとみとめられるもの

9.今後考えられるべき特殊な「個別事情」による調整
今後通達、情報、事務連絡等により改正、明示されていくと考えられる項目

    (1)   通達、情報、事務連絡に明示されていない特別な事情(今明示されていない個別事情)

    (2)   通達、情報、事務連絡に明示されているが、それでは項目が不足のもの、率が不足のもの

    (3)   当該路線の標準値と異なる「特別な事情」がある宅地

    (4)   路線価に折り込まれていないと思われる項目

    (5)   上下水道、電気、ガス、水道が来ていない(工事の必要がある)

    (6)   その路線の宅地として通常の用途(標準的な)に供することができない宅地

    (7)   道路、公共用地の収用又は買収後に残された残地(利用価値が極度に低いもの)

    (8)   他人に譲渡した残りの土地(地型が悪い)(売却不能、利用不能)

    (9)   湿潤な宅地

    (10)   水路、里道により分離されている土地の扱い

    (11)   著しく傾斜している宅地(がけ地までいかない)

    (12)   通達に於ける造成費以上の造成費

    (13)   無道路地及び間口狭小の土地評価に於いて、不足土地の買入価額(買増し分)を高めにする

    (14)   地下埋造物

    (15)   ようへきが必要な宅地

    (16)   建物が建たない

    (17)   処分不能(換金性なし)

    (18)   使用不能(利用価値なし)

    (19)   山間部の行き止りの空地の奥の方の宅地

    (20)   宅地内に高低差がある土地

    (21)   がけ地ではないが、段差があり傾斜地

    (22)   宅地として利用するには造成する必要がある

    (23)   土止め、抜根の必要がある

    (24)   利用制限がある

    (25)   信号があるため道路をつけることが出来ない

    (26)   第三者への売却不能

    (27)   市道に取られた残地

    (28)   がけ地部分で使用不能

    (29)   がけ地と水路との間の狭い土地

    (30)   擁壁工事、土工事、排水工事を必要とする

    (31)   給水工事、階段工事を必要とする


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