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遺言書を書く前に(使えない遺言書) |
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遺言書における注意点
自筆の遺言書(自筆証書遺言)がある場合には、開封せずに、ただちに家庭裁判所に提出し、「検認」という手続きを受け、相続人全員の立ち合いのもとで、開封しなければなりません。
もし、検認を受けなかったり、勝手に開封した場合には、5万円以下の過料を課せられますので、ご注意下さい。
なお、公正証書遺言には、「検認」という手続きは不要です。ただし、作成時に2名以上の証人が必要です。又、遺言書の記載内容に不備がある場合には無効になる場合もあります。
遺言書が使えない(にくい)場合
遺言は、相続税対策、争族対策、遺産分割対策における「武器」です。しかし以下に示すような遺言は、使えない(にくい)場合があります。
- 配偶者の税額軽減を考慮していない遺言
配偶者がいるのに子どもだけに相続させる、又は、配偶者に少ししか相続させないような遺言では配偶者の税額軽減が有効に利用できません。第二次相続を考えると配偶者が法定相続分の相続をすることが必ずしも一番税金がやすくなるとも言えませんが、検討のうえ最大限利用しましょう。
- 相続財産について相続人が現在利用している状況を無視して書かれた遺言
遺言書を書くとき相続人の意向も配慮して書いておいたほうが相続後相続人間の人間関係がスムーズにいくでしょう。
- 土地について、平等にとの配慮から相続人の共有持分にする遺言
不動産を共有にする分割は、共有者全員の同意がなければ、不動産の有効活用、換金処分ができない等、将来問題となる可能性があります。
- 事業家の場合、同族会社の親族の持株は事業を承継する人に相続させておくべきでしょう
- 小規模宅地の評価減を考慮していない遺言
小規模宅地の評価減で 80%の控除ができるのは、居住用の場合は配偶者や同居親族等であり、事業用の場合は被相続人の事業を継続して行う親族等です。それ以外の相続人に相続させる遺言は、相続税の負担を多額にしてしまうとともに、その土地の利用実態にも則さない遺言になる事が予測されます。
- 指輪、宝石、貴金属、書画、骨董などの記載がある遺言
申告する必要のない(値打ちのない、わからない)ものまで含まれていることがあります。
- 相続税額を考慮していない遺言
相続税はできるだけ安くすませたいものです。
そのために各種控除を有効に利用できる遺産分割を考える必要があります。
- 納税資金(物納)を考慮していない遺言
土地、建物などの不動産のみを相続した場合、せっかく相続した土地を売却するか、物納による以外、相続税を払えないこともあります。従って遺言書を書くときは、次のことを考慮しておく必要があります。
(1) 相続人が従来から所有していた固有の現預金で相続税を納付できるか。
(2) 被相続人の遺産の中から相続税の納付を考えるなら、それ相当の現預金を各人に相続させるようにしておく。
(3) 物納を考えるなら、物納する財産を明記し当該財産を相続税の各人の割合で分割し残余の額がある場合は法定相続分で分割するか、物納用の財産を明示し相続人で分割協議できるようにしておく。
(4) 被相続人から相続を受ける財産(土地・建物)を売却し、その代金で相続税の納税を考えるのなら、当該財産の処分代金を各人の相続税相当の割合で分割するようにしておくべきでしょう。
また、同族会社の株式は処分することもできません。ですから、相続税を払えるように生命保険、死亡退職金の受取人問題も含めて、金融資産の相続を考える必要があります。特に未成年者など所得のない相続人の相続税を親が負担すれば、贈与税の問題も発生します。相続税を無理なく納付できるように相続させるようにしましょう。
- 第二次相続を考えていない遺言
配偶者のみに相続させる遺言等は、その第一次相続では相続税が安くすんでも第二次相続での相続税までを考えると、かえって高くなってしまうケ−スもあります。
(1) 配偶者にも財産がある場合
… 第二次相続で相続財産が増加する
(2) 1億6千万円(配偶者の税額軽減で相続税がゼロになる)程度の相続財産の場合
… 第一次相続で相続税がゼロでも、第二次相続では相続人が1人減少(配偶者)する為、基礎控除額、税率区分が不利になる場合がある。
従って将来の第二次相続をも想定して配偶者の取得すべき財産の種類、価額を決定しなければなりません。
- 遺留分を考慮していない遺言
配偶者、子供、父母、祖父母には遺留分があり、遺言が不服な場合には遺留分の減殺請求ができます。遺留分に食い込むような遺言は、権利関係を複雑化させ紛争のもととなりますので、できるだけ避けたほうが良いでしょう(相続人本人が了解している場合は別)。 遺言では、その遺留分減殺の方法の指定(指図)を行うこともできます。養子がある場合、相続人以外の者へ遺贈する場合など充分な注意が必要です。
- 全部の相続財産がこまかく明示されている遺言
ゴルフ会員権、自動車、貴金属など細かく遺言書に記載されている場合もありますが、土地、建物などの主要財産、どうしてもこれだけはOO氏に相続してほしい財産など特定の財産のみ遺言して、それ以外の財産は、相続人全員の分割協議にまかせる事も検討してください。この方が、相続税対策、納税資金対策を進めやすいと言えます。
- 税務申告を考慮していない遺言
こんなものがと思うもの、税務上の財産(みなし財産)となるものがあります。これらについても税務申告時には、遺言書なり分割協議書がいります。したがって、遺言を作成するときには、これらのことも考慮したものであることが望ましい。
以上のような問題をクリアしていれば、遺言書がそのまま相続税の申告に使えます。
そうでなければ無駄になってしまいます。ただし、遺言書を単なる権威付け、遺産分割の方向付けと考えるなら別ですが。
なお、私どもの経験では、遺言書をそのまま使って申告する例はほとんどありません。そのまま使えるのは、分割が難しく遺言書通りに行くしかない場合、子供が無く配偶者のみ、または、配偶者と兄弟姉妹の場合(遺留分減殺請求ができない)、完全な遺言である場合などだけです。 |
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