医業、歯科医業の月次試
算表の重要性について

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  1. 1.社会保険診療報酬が5,000万円以下でも、必要経費の経費率を使わない方が有利になることもある。
  2. 2.必要経費について、経費率(措法26①)を使わず、診療報酬に対する必要経費を実額で計算した方が所得が少なくなり、税務上有利になる事がある。

    経費が多額である者についての指導

    社会保険診療報酬て係る必要経費の金額は、当該診療報酬の金額に応じて100分の72から100分の57に相当する金額を超える者については、支払を受けるべき金額が5,000万円以下でも、後記の社会保険診療報酬の所得計算の特例によらず、一般の例により所得金額を計算して申告するように指導するものとする事。(昭31直所2-8「7」、編者補正)

  3. 3.機械設備の必要性による減価償却費の増大、医療トラブル、インフォームドコンセント対策としての人件費、事務管理費の増加

※参照
別紙(経費差額等の計算書の☆3が)

  • マイナスになると必要経費は実額が多くなります
  • プラスになるとその金額が経費差額となります

これらの事により、医業、歯科医業にも計数管理、試算表の重要性が高まっている。

社会保険診療報酬の所得計算の特例(必要経費の経費率について)

社会保険診療報酬の所得計算の特例

医業又は歯科医業を営む個人が、各年において、社会保険診療につき支払を受けるべき金額を有する場合において当該支払いを受けるべき金額が5,000万円以下であるときは、その年分の事業所得の計算上、当該社会保険診療に係る費用として必要経費に算入する金額は、所得税法の規定にかかわらず(実額によらず)、当該支払を受けるべき金額を次の表の左欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の右欄に掲げる率を乗じて計算した金額の合計額とする。(措法26①)

2,500万円以下の金額 72/100
2,500万円を超え3,000万円以下の金額 70/100
3,000万円を超え4,000万円以下の金額 62/100
4,000万円を超え5,000万円以下の金額 57/100

〈参考〉社会保険診療報酬に係る経費の速算式(編者注)

社会保険診療報酬の金額(A)経費速算式
2,500万円以下の場合 A×72%
2,500万円超3,000万円以下の場合 A×70%+50万円
3,000万円超4,000万円以下の場合 A×62%+290万円
4,000万円超5,000万円以下の場合 A×57%+490万円

利益(所得)の額と使えるお金

事業主貸勘定(店主勘定)の生活費の分析

課税所得(給与収入)毎の表面税率と負担税率

右にスライドすると、情報を閲覧できます。

課税所得(給与収入)毎の表面税率と負担税率

課税所得が330万円以下の場合700万円以下の場合900万円以下の場合1,000万円以下の場合1,000万円超の場合
給与収入にすると 734万円未満の場合 1,137万円未満の場合 1,300万円未満の場合 2,255万円未満の場合 2,255万円超の場合
表面税率(使える額) 20%(80%) 30%(70%) 33%(67%) 43%(57%) 50%(50%)
負担税率(使える額) 16.97%(83.03%) 23.86%(76.14%) 25.89%(74.11%) 34.44%(65.56%) -

※表面税率…各段階毎の所得税の税率+市町村民税の税率+道府県民税の税率
※負担税率…各段階毎の合計負担税率(低い段階の税率を合算した税率)
※尚、上記の表面税率、負担税率には事業税の税率は加えていません。

総括
  1. 1.課税所得2,000万円だと表面税率43%なので、使える額(のこる額)は1,140万円しかない。
  2. 2.使えるお金が1,500万円必要だとすると、課税所得は3,000万円なければならない。

事業主貸(店主貸)の分析

事業主貸(店主勘定)とは事業とは関係のない事業主の個人的生活費等の貸借、入出金の処理の為の口座です。
この事業主貸借も次のような分類で分析・集計してみたいものです。

No.項目内容
1 事業主貯蓄
  1. 1.事業に関係のない私生活の預金(積立預金、定期預金)
2 事業主保険
  1. 1.貯蓄性の生命保険(養老保険)
  2. 2.簡易保険
  3. 3.小規模事業主共済掛金
  4. 4.所得補償保険
3 事業主税金
  1. 1.事業主の所得税
  2. 2.事業主の県民税(夫妻とも)
4 事業主生活費
  1. 1.私生活の為の生活費(衣、食費)
  2. 2.私生活の為の電気、ガス、水道代
  3. 3.私生活の為の国民年金・国民健康保険料
  4. 4.私生活の為の旅行、レジャー費、教育費
  5. 5.事業主の奥さんの化粧代、酒代、タバコ代、小遣銭
  6. 6.私生活の為の土地、家屋の固定資産税及び償却
  7. 7.私生活の為の家屋・家財の火災保険
5 事業主住居費
  1. 1.私生活の為の住宅ローンの支払額
  2. 2.私生活の為の住居の改装、修理、家具の購入代
6 事業主貸借
  1. 1.子、孫への贈与
  2. 2.株式の購入、その他の投資
  3. 3.(入金)給与所得になる学校医、嘱託医の収入(事業主借)
  4. 4.(入金)給与所得収入(事業主借)
  5. 5.(入金)雑所得になる年金、恩給(事業主借)

次のものは事業主(店主勘定)でなく、事業の一般管理販売費(必要経費)になります。

No.内容仕訳(科目)
1 消費税、事業税 公租公課
2 事業に使っている土地、家屋の固定資産税 公租公課
3 事業に使っている什器備品、機械の償却資産税 公租公課
4 事業に使っている家屋、什器、備品等の火災保険料 保険料
5 事業に使っている電気、ガス、水道代 水道光熱費
  1. 1.この事業主貸(生活費)には、借入金の返済、住宅ローンの返済、賃貸住宅等の支払の住居費は含めていません。
  2. 2.又、事業の為の土地、家屋のローンの支払金は借入金の返済になります。
  3. 3.事業用の借入金の返済及び事業としての積立預金等は事業主貸とは考えません。

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