HOME > 税務・経理まるごと辞典 > 医業・歯科医業について経理担当者として知っておきたいこと
- 1.経理用語を正確に使うこと
- 1.経理に関するデータを作成し、分析するには、経理に関する用語を正確に把握しておくことが大切です。
- 2.どの項目を解説又は検討するのかを明確にし、相互に認識することが必要です。
- 益に関すること
収益−費用=利益 - 資金繰りに関すること
収入−支出=現金過不足
- 益に関すること
- 2.経理から出るデータの種類について
- 1.経理の役割
経理を担当する者にとって大切なことは、経理の役割とは何か、を意識して仕事をすること。
- 2.経理から出るデータ
代表的なものは、次の通りです。
- 損益計算書
- 貸借対照表
- 資金繰計画表
- 経営分析表
- 利益計画・資金計画
- 3.経理の仕事について
- 勘定科目の処理は、毎年同じ基準を継続して使うこと
- 診療形態を理解しておくこと
- 使用する薬品・医療消耗品等を理解しておくこと
- 院内の事務部品の業務の流れを理解しておくこと
- 経理から出るデータの確認
- 現金出納事務等の経理事務の流れの確認
- 1.経理の役割
- 3.損益計算書の仕組みと読み方について
- 4.貸借対照表の仕組みと読み方について
- 5.月次試算表の見方と活用について
- 6.決算書について
医業で使われる主な用語
- レセプト
- 医療費の請求書。病院が健康保険などの報酬を公的機関に請求するために提出する明細書
- レセコン
- 診療報酬の算定、請求をするためのレセプトのデータ登録等をするソフト機器のこと
- カルテ
- 医師の診察記録カード。病歴・検査所見・処方・治療など、患者に関する情報を記入
- X線
- 波長が1オングストローム前後の電磁波。発見者にちなんでレントゲン線ともいいます
電離作用や写真感光作用などが強い。医療診断などに広く利用 - 処方箋
- 医師が患者に必要と認めた薬剤の種類・量・服用法などを記してわたす書類
- ペースメーカー
- 心臓の心室を強制的に電気刺激する装置。心臓の刺激伝導系の障害で、心拍数が著しく低下した患者に用いる
- ICU(集中治療管理室)
- 集中ケアの必要な患者を監視し、救命設備の整った場所で効果的に24時間看護治療する集中治療病室
- CCU(冠状動脈疾患集中治療病室)
- 重症の心臓疾患患者の集中治療を行う病室
- 人工透析
- 人工的な装置を用いて、腎不全などで体内に蓄積された有害代謝産物を除去する方法
- NICU(新生児集中治療管理室)
- 分娩に伴う種々の障害や未熟児の集中治療を行う病室
- 救命救急センター
- 脳卒中、心筋梗塞、頭部外傷等の重篤患者の救命医療を行うために高度の診療機能を有し、24時間体制で救急患者の受け入れを行っている医療機関
- 医薬分業
- 医師が患者の治療上薬剤を投与する必要があると認めた場合、処方箋を交付し、保険薬局の薬剤師がその処方箋に基づき調剤・薬歴管理・服薬指導等を行うという形で、医師と薬剤師が分業する体制
歯科医業で使われる主な用語
- アタッチメント
- 部分入れ歯を固定する装置でクラスプ以外のものを言う
- クラスプ
- 入れ歯を安定させる装置、俗にバネといわれている物
- アネステジー
- 麻酔のことを言う
- カリエス
- むし歯のこと
- 矯正
- 歯科矯正と言って歯並びを治すこと
- 口腔
- 口の中を言う
- 個人トレー
- 個々の患者の型取る道具
- 歯冠
- 歯は歯の部分と根の部分に分けられるが、歯の部分を歯冠と言う
- 歯周病
- 歯茎の病気
- 歯間ブラシ
- 歯の間を掃除するブラシ
- デンタルシアノン
- 歯科用の瞬間接着剤
- バキューム
- 治療中に口の中のだ液や水を吸い取る装置
- ぺリオ
- 歯周病のこと
医療施設について
医療施設は、「病院」と「診療所」に大別され、医師・歯科医師が公衆又は特定多数人のために医業又は歯科医業を行う場所である。
医療施設は大別すると次のとおりとなる。
公的医療機関とは、都道府県、市町村、その他厚生大臣の定める者が開設する病院又は診療所を指す。
医療施設につき、世間では、医院とかクリニックとかの名称により、呼ばれている場合もあるが、法律上は「病院」「診療所」である。
保険制度について
医療保険に関する制度は、健康保険法、船員保険法によるもの、各種共済組合法によるもの及び、国民健康保険法によるものに大別される。
健康保険法に基づくものは、比較的小規模の事業所の従業員を対象とした政府管掌の健康保険と健康保険組合(従業員300人以上の事業主が許可を得て、設立)が管掌する健康保険がある。
国民健康保険法に基づく保険は、一般市区町村民を対象としているもので、地方公共団体が保険者となる場合と、同種事業・業務に従事する者が300人以上で組織する法人で、知事の認可を得た組合が行う場合がある。
昭和36年から国民皆保険制度が導入され、国民はいずれかの保険に加入することが義務付けされている。
医療機関は、この保険制度の根幹を支える者として、保険給付を担当する位置にあり、給付の対価として、診療報酬を被保険者から受けることになる。保健医療機関及び療養取扱機関とはこのような保険給付を担当する医療機関のことを言う。
参考
- 1.社会保険診療報酬について
社会保険診療報酬の場合は保険点数算定がそのまま収益の測定に結びついている。
点数算定は、個々の診療行為の内容を、厚生省が定める点数表(医科及び歯科)と薬価基準に当てはめて計算することになる。この点数1点が10円であり、基本的には診療総点数に10円を乗じた金額が社会保険診療報酬合計となる。 - 2.自由診療報酬について
自由診療報酬のうち、労働者災害補償保険(労災保険)及び自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)については、それぞれの地域医師会により1点15円とか30円というように定められている。
その他の自由診療報酬については、一般に任意であり保険点数とは関係がない。
なお、特定医療法人については、自費患者の診療報酬は健康保険法第43条の9第2項の診療報酬の基準以下の金額によらなければならないことになっている。 - 3.窓口徴収について
窓口徴収による入金には、自費患者の診療費、入院室料差額などもあるが、その大部分を占めるのが患者負担額(自己負担額)である。
この自己負担額の計算上10円未満の端数は四捨五入して徴収するようになっている。
例えば次のようになる。診療総点数(A) 負担割合(B) (A)×10円×(B) 徴収金額 372点 10% 372円 370円 619点 30% 1,857円 1,860円 なお、この自己負担額は、保険期間(支払基金、国保連合会)で診療報酬を支払う場合に、その月分の診療報酬から差し引かれます。
また、この窓口徴収入金は、外来収入、入院収入、その他の収入に分類することができます。
外来の場合は、診療の都度カルテに基づいて診療報酬を計算し、窓口で徴収します。
入院の場合は、月単位で診療報酬を計算し、窓口で徴収するが、病院によっては10日単位で計算し、徴収しているところも多くあります。 - 4.請求・振込みについて
医療給付については、点数表により計算した診療報酬明細書(レセプト)により請求することになる。
この請求は、保険者に対して直接行わず、その間に設けられている審査・支払機関に対して行う。
審査・支払機関は、健康保険などの社会保険では「社会保険診療報酬支払基金」(支払基金)、国民健康保険では「国民健康保険団体連合会」(国保連合会)がそれぞれ委託されている。
支払基金、国保連合会への請求は、前月分を当月10日までに提出する必要がある(都道府県によっては提出協力日を設けて7日などとしているところもある)。診療報酬請求権の時効について
診療報酬請求権の時効は、診療を行った月の翌月1日から3年間で時効となる。したがってそれ以降は請求できない。
請求書様式について
支払基金への請求は、一定様式の「診療報酬請求書」とその明細である「診療報酬明細書」とにより行う。
なお、平成3年10月から、一部の保険医療機関では用紙に代えて磁気テープ等による提出が行われている。都道府県の支払基金へ提出について
医療費の請求は、保険者の所在地にかかわらず、医療機関の所在する都道府県の支払基金に請求することになる。
そこから保険者所在の支払基金を経由して、その保険者へ請求されることになる。 - 5.審査機関による査定増減の処理について
診療報酬明細書が提出されると、支払基金・国保連合会では毎月10日頃から1週間ほどの間に審査がなされる。
審査の結果、請求内容が妥当でないものについては減点が行われ、点数の算定誤りによる過少請求については増点が行われる。そして、その結果は、通常その月の末日までに「増減点連絡書」で通知される。