医業における記帳と
経理処理のポイント

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  1. 1.保険収入

    社保・国保による診療に対する収入を言います。
    患者本人から直接徴収する保険窓口収入と、社会保険診療報酬基金と国民健康保険連合会より振り込まれてくる入金額があります。
    保険請求によるものは請求時から2ヶ月の遅れで基金から振り込まれますが、一般的には振込み時に収益計上している医院が多いのですが、決算時に収益を実現主義に切り換える必要があります。

  2. 2.自費収入

    社保・国保等以外の自由診療にかかわる収入をいいます。
    一般的な自費診療報酬の他、労災保険、公務員災害保険、自賠責保険等に基づく診療報酬も含まれます。

  3. 3.雑収入

    歯ブラシ、デンタルフロス等の窓口販売収入等の他、使用済金属の売却益、使用済レントゲン現像液の売却益などが含まれます。

  4. 4.棚卸資産

    診療材料、薬品のうち未使用分については棚卸資産として計上してその年の経費から除外しなければなりません。
    棚卸を行う場合、封を切った薬品など実際計量せず、目安で1/2,1/3という概算による計上でかまいません。
    貴金属については高額ですからg単位で計上する必要があります。
    技工所に預けている材料についても忘れないように計上します。

  5. 5.診療材料費

    医薬品、金属、人工歯等の診療材料の他、一般的には消耗材料などを含めて、この科目で計上している場合が多いです。

  6. 6.外注技工料

    医院にとって仕入原価に該当し、外注された技工料、検査料をいいます。
    措置法26条を採用している場合、自費診療分と保険診療分を区別することによって、節税効果が出る場合があります。

  7. 7.租税公課

    印紙税、固定資産税、償却資産税、事業税などをこの科目で処理します。
    事業税は、前年の自費診療収入にかかわる所得に対して課税されているもので、支払年度において損金処理します。
    租税特別措置法第26条で計算する時は自費分の固有経費として計算することが必要です。
    損金にならない所得税、住民税や罰金過料等は事業主勘定で処理し、この科目に含めないようにします。
    固定資産税のうち居住用と医院事業が同一の建物の場合、それぞれの割合いで計算し、事業用割合分だけ経費処理することが必要です。

  8. 8.水道光熱費

    電気、ガス、水道料、灯油代などが含まれます。
    診療所と居住部分が同一の場合は使用割合いによって按分計算し事業用部分だけを経理処理することが必要です。

  9. 9.旅費交通費

    電車賃、バスなどの費用の他、研修会等への出席のための宿泊料等の費用が含まれます。
    従業員の通勤費については限度額が定められており、非課税限度額を超える部分については給与として源泉所得税の課税が必要となります。
    (注4通勤交通費)

  10. 10.通信費

    電話代、郵便代等の費用を処理します。
    電話料のうち、自宅と診療所が同じ電話を使用している場合は、合理的に按分し、事業用部分のみを費用として損金処理します。

  11. 11.広告宣伝費

    看板、パンフレット,町内地図広告などの費用の他、求人誌などの掲載料も含みます。
    看板などで取付費等を含めた取得価額が10万円以上の場合、固定資産に計上し、耐用年数等に応じて減価償却する必要があります。

  12. 12.接待交際費

    事業を円滑に進めるため、歯科技工所など診療所と関係のある人を食事に招待したり、中元歳暮等の贈り物をするために要した費用をいいます。
    慶弔費など領収書をとれないものについてはいつ、誰に何の目的で支払ったかを記した記録を残しておく必要があります。

  13. 13.損害保険料

    診療所の火災保険、医療事故に備えた保険などを処理します。
    保険期間が一年以上にわたる時は、前払費用として資産計上し、当期分のみ費用として損金処理します。
    生命保険、傷害保険など事業と関係のない保険は事業用経費として費用処理できませんが、一定額を所得控除として税金計算上控除できます。
    休業補償保険は原則として計上できません。

  14. 14.消耗品費

    事務用品、その他器具備品、日用消耗品など(診療に直接使用する消耗品等は診療材料の科目)をこの科目で処理します。
    但し使用可能期間が一年以上にわたるもので、取得価額が10万円以上のものは固定資産として資産計上し、耐用年数等にもとづいて減価償却します。
    (注3医療用資産の減価償却の方法参照)

  15. 15.福利厚生費

    従業員等の健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険などの診療所負担分(従業員等が負担する分は除く)の他、健康診断料、忘年会、院内旅行費用の負担や従業員に対する慶弔費が含まれます。

  16. 16.食事費用

    食事の価額のうち1/2以上を従業員が負担し、医院負担が月額3,500円以下の場合は、給与でなく、福利厚生費として処理が可能です。福利厚生費に該当すれば、源泉所得税の徴収は不要です。
    時間外の就業における食事提供は全額経費計上してもOKです。

  17. 17.慰安旅行

    慰安旅行の費用のうち、費用の1/2以上を事業主が負担し、かつ従業員の1/2以上が参加している場合であって、旅行期間が現地4泊5日以内であれば、事業上必要経費として損金処理ができます。

  18. 18.給与賃金

    正規の従業員の他、パート・アルバイトも含めて給与、賞与等をこの科目で処理します。
    他で給与所得のない人で「扶養控除等申告書」の提出されている人に限っては、月額87,000円以下の場合には源泉所得税の徴収は不要です。
    「扶養控除等申告書」の提出されていない人については、たとえパート・アルバイトであっても、月額87,000円以下であっても、乙欄適用等で源泉徴収する必要があります。

  19. 19.支払手数料

    医療外部の専門家に仕事を依頼したり、専門的なアドバイスを受けたりするための費用で、税理士、弁護士、経営コンサルタント等に対する報酬顧問料です。
    個人に対して支払った場合は、相手先が確定申告するしないにかかわらず、支払に係る金額について源泉徴収をしなければなりません。

  20. 20.専従者給与

    青色申告をしている医院で生計を一つにしている家族に対する給与、賞与です。
    適用を受けようとする年の3月15日までに、あらかじめ税務署に届出をし、提出された内容に従ってその範囲内で支給します。
    その労務に従事した期間、労務の性質及び提供の程度、その事業に従事する他の使用人の給与の状況および同種同規模の事業に従事する者の給与の状況、事業の種類、規模、収益の状況からみて労務の対価として相当であると認められた場合に必要経費に算入できます。

  21. 21.事業主貸・事業主借

    事業とは関係のない個人に係わるもの等が、事業上の預金などに入出金された時に使用します。
    校医手当や嘱託医などの給与、講演料等の報酬が該当します。

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