芸能人・作家・漫画家等の法人設立について

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経費についての考え方

  1. 1. 芸能人のエステ代など、私的な部分と事業活動の部分が分けにくい
    1. 経費として主張できる明確な基準を持っておくことが重要です。
    2. 例)美容費が売上に対して40%を上限として計算している
    3. 衣装、備品、取材旅行など、法人の活動上必要だが、個人とも言えるものについては、衣装用の部屋を分けたり(トランクルームなど)番組で財布を見せることがある、物語の中で主人公が取材先に行っているなど、後で説明できるよう記録を残しておくことも必要です。
  2. 2. 役員報酬
    1. 家族の役員報酬の金額について、税金計算上は、均等にするほうが有利ですが、法人の営業活動への貢献度合いを考えると、芸能人・作家本人と他の家族との金額には、はっきりとした差額をつけることが望ましいです。
    2. 高い報酬を取る場合には何らかの理由が必要です(マネージャーとして、常に同席している。一緒にストーリーを考え、人物へのペン入れをしているなど)。
  3. 3. 代表取締役
    1. 原則は、作家・芸能人本人がなるべきです。ただ、法人に何かあった場合、責任を取るべき立場なので、本人を守るために、別の人が代表取締役になることも考えられます。この場合、実質的にも代表取締役と言える職務内容が必要です。
  4. 4. 平均課税との比較
    1. 法人税が下がってきたことや給与所得控除の限度額の設定など、以前よりも法人を設立する税務上のメリットが薄くなってきています。法人を作るよりも、所得税の平均課税を使った方が税金が安くなる場合もあります。

法人化にあたっての注意点

  1. 個人との違いを明確化する、単なる名義だけの変更と言われないこと
  2. 作家や芸能人としての個人の営業活動を法人の業務として処理するため、個人と法人の境界線があいまいになりがちです。そのため、実質・形式ともに違いをはっきりさせることが必要です。
    1. 1. 出版社や所属事務所との契約を、個人名義から法人名義に切り替え、振込先も法人の口座にする。源泉は引かない。
    2. 2. 個人契約になっているものを法人契約に切り替える
    3. 3. グッズ販売など、個人の活動の結果だけではない、法人独自の活動を行う

メリット

• 給与所得控除
 本人も法人から給料(役員報酬)をもらう立場になる
 限度額1200万円注意


• 役員による所得分散がしやすい
 専従者給与=労働の対価、役員報酬=経営の対価


• 消費税2年免税
 半年の売上・給与注意


• 税率
 所得税の最高税率45%、住民税を合わせて55%
 法人税の実効税率、最高で35.3%(個人の税率も合わせての損得)


• 欠損金の繰越
 9年間繰越できる


• 税務対策が個人に比べてやりやすい
 生命保険の活用など

デメリット

• 赤字でも均等割


• 記帳、申告事務の煩雑化


• 役員にした家族への賞与が経費にならない

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